手のひら駐車場日誌

 高純度ダイカスト部 貧乏コレクターの備忘録

偉大なる醜いアヒルの子 ─Majorette Citroën 2CV

戦後フランスを象徴する車といえば、シトロエン2CVルノー4である(異論は認めない)。両車ともに、フランスが生んだ斬新かつ先進的な名車であるが、3インチミニカー界隈ではあまりモデル化に恵まれない車種でもある。(驚くべきことにマッチボックスやホットウィールのラインナップには存在しないである。注)記事作成時)

特に、旧マジョレット社はついに2CVをリリースしないまま倒産してしまった。この事実は、「フランス車のミニカーはフランスのミニカーメーカーに限る」そう提唱している私としては全く残念なことであった。だが、タイに大工場を構え、復活した新生マジョレット社がついにその無念を晴らしてくれた。

それがこのマジョレットのシトロエン2CVだ。

Majorette Citroën 2CV

まず、見てもらいたいのがその、全体像である。メタリックなあずき色のボディに艶消しのブラックで再現した幌とバンパー。そして角目のヘッドライト。実車の特徴的なスタイリングが、ほとんどそのまま再現されている。

その仕上がりは、なんとも実にエレガント(élégant)である。手のひらサイズのミニカーに、実に”フランス”な2CVそのものを感じさせる成分がぎゅっと凝縮されている。日本語的で言い表すなら”雰囲気”というやつだろう。このミニカーを持つだけでフランス気分を味わえるモデルになっている。

ホイールデザインは、円盤に三つ穴が開いた不思議な仕様だが、この際それは些細な問題である。後輪を隠すスパッツは美しいラインを描き、実車同様の魅力を存分に感じさせてくれる。

ボンネット開閉

そして、本モデルの神髄は、ボンネットが開き、エンジンが見えることだろう。車名の由来は2馬力(deux chevaux)であることからきているが、さすがに本ミニカーのモデルとなった60年代以降のモデルまで来ると2馬力ではなくなる。

だが、強制空冷の水平対向エンジンはプラスチックでかなり精密に再現されており、単色とはいえ実にエレガント(2度目)な出来である。

最近のマジョレットは、妙に旧車を出してくれるので楽しみにしているが、私は、この2CVが非常にお気に入りである。唯一惜しむらくは、この2CVがフランス製ではなく、タイ製であることだろうか。スケールは1/64。