日本ではほとんど見かけないFast 111’sシリーズ。展開していたのはアメリカのKenner(ケナー)というメーカー。ミニカーだけでなくキャラ物玩具やゲームなどで有名で、1947年創業の老舗である。
ケナーが、Fast 111’sをリリースしたのは1980年頃。ホットウィールやマッチボックスなど、強豪がしのぎを削るダイキャストミニカーの市場に殴りこんだのである。
キャストは、Cam-Amのマシンをイメージしたのであろう、『CAM RAMMER』マッチボックスにも似たような雰囲気の架空車がいた気がする。
Fast 111’sシリーズの特徴は、まずシリーズを構成するほとんどの車が架空車(シェビーのように一部実車アリ)である点が挙げられる。架空車という発想自体は、ホットウィールの二番煎じのように見られるかもしれないが、本キャストのようにホットウィールとは違った独特のデザインセンスのマシンが多数存在する。なお、明らかに元ネタの車が存在するだろ!という架空車も存在する。このセンスは嫌いじゃない。
次に、上写真にある巨大なバンパーがすべてのキャストに存在する点である。これこそ、ケナーがFast 111’sに持たせた”売り”だった。このバンパーの中央部には、アメリカの各州のナンバープレートを模したシールが貼られている。その登録番号は、同キャストでも個体ごとに違い、まるで本物の車のように自分の愛車にナンバーを持つことができるというシステムだったのである。本モデルにナンバープレートはないが、eBayなどでは、様々な州のナンバープレートを付けたモデルを見ることができる。一部、欧州で売られていたモデルには欧州のナンバープレートもあるようだ。
おそらく、917辺りを参考にしたと思しきキャストだが、悪趣味な感じはなく、良い仕上がり。タイヤが全キャスト共通で、このオレンジの断面図のような8スポーク(本来はメッキ)である点もFast 111’sの特徴である。
残念ながらFast 111’sはホットウィールやマッチボックスの牙城を崩せず、1983年頃に消滅したようだが、アメリカの中古市場ではそれなりに流通しているようでebayを徘徊すると収納ケースなんかも売っているのを見かける。
マカオ製。どうやら香港製もあるようだ。
さて、このFast 111’sの金型がユニバーサルに流れて、ユニバーサル傘下のマッチボックス名義でリリースされたらしいのだが本当ですか?←ホントです(ブレイザーとか有名)
ユニバーサルの名がここでも!
今回入手のきっかけは、Fast 111’sの実物を見たのが初めてだったから。状態が悪くても記念に買ったのである@香港のアンティークショップ。
文責:SOx