手のひら駐車場日誌

 高純度ダイカスト部 貧乏コレクターの備忘録

お詫びと訂正とその先ーZylmex P389 COBRA 427

まさかあの車が重要なファクターだったとは……

Zylmex P389 COBRA 427
(後述しますがPの前のスペースからZee Toysのシリーズだった可能性があります)

ともすると軽んじられがちな香港メーカーからここまでのカタチのコブラが出ていた。フェンダーのふくらみやフロント、リアの風貌。これをコブラと呼ばずしてなんと呼ぼう。ジルメックスの中でもPシリーズというだけあって納得の出来です。427コブラはACコブラを原型に開発したマシンでした。特徴的なボディ下部に沿ったエキゾーストパイプはベースプレートと一体成型で再現しています。

さて昨日の記事ではマイストとジルメックス/ZEE TOYS (片仮名とアルファベット混ぜ書きを避けるため以下Zylmex/Zee Toysと記述)に、MCトイを通じた金型の継承があったことが立証されました。私が何より驚いたのは関係性を立証するカギを握っていたのがプルバックのデフォルメされたモデルだったということでした。メーカーを語るなら様々な製造品に目を通すべきだということが痛感させられました。

SOx氏は続けてMCトイからマイストへと変遷するところまでを書いていました。ではIntex後のZylmex/Zee Toysのモデル群はどうなっていったのでしょうか。

IntexとMCトイの関係が終わりを告げた後、元Zylmex/Zee Toysの金型はSears(百貨店の名前)の "Road Mates"(1)とToys'R'Usの”Fast Lane”として販売されました。このうちToys'R'Usの”Fast Lane”は日本上陸後すぐの同店でも売られていたと考えられます。

1990年代にZylmex/Zee Toysのモデル群はIntexから香港のZyll Enterprise Ltdに製造および販売が移り(2)、1995年頃ジルメックスはRed Box Toy Factory Ltdに製造が委ねられました。そしてRed Box Toy Factory LtdがZylmex/Zee Toysの金型に新しい金型を加え、送り出したシリーズが本邦でもよく知られたモーターマックスとなりました。これらは神崎ガチャとして近年まで買うことができました。

リアから

ここで話をコブラに戻しましょう。このコブラもZylmex/Zee Toysの金型であり1990年代の一連の出来事の後も製造が続けられました。製造の変遷のおさらいついでに具体的にいつ頃のモデルなのか考えていきましょう。

Pの前の不自然な空白が分かります。
Zylmexの文字を入れるには狭すぎることから入るとしたらZEEのマークでしょうか

まず製造表記がHONG KONGであることから香港返還前、1997年以前の製造であることが分かります。さらにモーターマックスのパッケージで売られているZylmex/Zee Toys金型のモデルがCHINAあるいはHONG KONGをつぶした状態になっていることから、IntexもしくはZYLL Enterprise Ltd時代であると考えられます。これでさらに年代が遡り1995年頃より前となります。Zee Toysのマークがないことからおそらく初期のFAST LANEではないかと思われます(中古とはいえ日本で買ったしさすがにFAST LANEであってほしい)。

つまり製造年は1990年代初頭となります。この時代のジルメックスの入手方法はほかに海外向けのDART WHEEL(と思われる)を入れたガチャガチャがありますがDART WHEELはZEEのマークが削られていないようです。しかしこのモデルを買ったとき抱き合わせで入っていたモデルはまた少し様子が違っていたのでこれが正しいとは言い切れません。

ここまで付き合ってくれた皆さんに感謝をこめて
コブラの前が抱き合わせ(P 391 PONTIAC G T O)で、裏の状態が違うけどこれ以上は、ね

結局なんだかわからないという結果に終わりましたが、パッケージ付きのモデルや当時の目撃情報を収集することである程度の正確さを担保できるようになるかもしれません。そして今回紹介できなかった1980年以前のZylmex/Zee Toysの様子もこの先紹介していきます。1970年代もかなり面白いメーカーですからかなりのボリュームになりそうですが。

記事の長さの割に断言できることが少ないのは香港系メーカー全般の情報の少なさに起因していると言わざるを得ません。これが面白さであり大変さなのですが。

追記
もしより正確な情報、目撃情報をお持ちの方がいたらご教授いただけると幸いです。

文責:ハジメ・ニノマエ

注記
(1) Sears ”Road Mates”はラインナップにZylmex/Zee Toysだけでなくplayartも内包していますがこれ以上広げると落としどころが行方不明になるので止めました。

(2)Zyll Enterprise Ltd時代のモデルの同定ですが、たまに©ZYLLのシールが貼られているモデルを見ることがあります。しかしこれがZyll Enterprise Ltdで時代のモデルを指すということも推測の域を出ません。 

参考文献

『Encyclopedia of Small-Scale Diecast Motor Vehicle Manufacturers』,2006,Enthusiast Books,Kimmo Sahakangas(著),Dave Weber(著),Mark Foster(著),Alan Sahakangas(写真)

 

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