手のひら駐車場日誌

 高純度ダイカスト部 貧乏コレクターの備忘録

ジルメックスの残滓 ─Motormax F-14 Tomcat

それは1997年に消えたはずのもの…。

 Motormax F-14 Tomcat

マイストとMC Toy、Zylmex/Zee Toysの関係に触れてしまった我が記事。それに絡める形でニノマエ氏からZylmexとその後についての記事が大ボリュームで返ってきました。
こんな記事を書いて、ジルメックス末期という迷宮に片足を突っ込んでしまった我々。そんなこんなで、我ら高純度ダイカスト部は、空前のジルメックスブームに沸いております。
ならば、このビックウェーブに乗って、ミニカー以外のキャストも紹介できるのでは?と気づいてしまった私。そうと決まれば、我が駐車場ならぬ、駐機場からダイキャストの航空機たちを引っ張り出してきたのです。写真は、モーターマックスのグラマンF-14トムキャット。

それでは、ジルメックスの正当な後継者たるモーターマックス(Motormax)の話をしましょうか。

垂直尾翼の髑髏マークはVF-84ジョリーロジャーでしょう

さて、モーターマックスは、『Motormax』という表記が正しく、『Motor Max』という表記は間違いなようです。

ニノマエ氏の記事内で『1995年頃ジルメックスはRed Box Toy Factory Ltdに製造が委ねられました。そしてRed Box Toy Factory LtdがZylmex/Zee Toysの金型に新しい金型を加え、送り出したシリーズが本邦でもよく知られたモーターマックスとなりました。』と述べています。この記述をさらに正確なものにすると、

1995年にRed Box Toy Factory Ltdが『Zylmex』ブランドのみをZyll Enterprise Ltdから引き継ぎ、1997年のZyll廃業の際、同Red Box Toy Factory Ltdが残りのZyllを買収したて立ち上げたのがMotormax Toysであると考えられています。そしてモーターマックス設立と同時期に米カリフォルニア州オンタリオに米国販売オフィスを設立したようです。
すなわち、ジルメックスの正当な後継者がモーターマックスということになります。この2社、アメリカに事業所を持つのもどこか似ています。

もちろん主翼は可変式

モーターマックスは、設立後しばらくジルメックスの金型を使用した3インチミニカーを製造していましたが、モデルとなる車が新しいものになると、徐々にオリジナルの金型のものに切り替わっていきました。

しかし、モーターマックスの中にも、ジルメックスの金型を使い続けたシリーズがありました。それがスカイウィングス(Sky Wings)と呼ばれるダイキャスト航空機のシリーズです。

それを証明するのが裏に書かれたこの品番。
このF-14の品番はA143になっていますが、これはジルメックスのダイナフライト(Dyna-Flites)/スーパーウィングス(Super Wings)シリーズのF-14と全く同じ品番です。
本当ならば、ここでジルメックスのF-14と比較すべきなのでしょうが、あいにく持っていないので、ジルメックスのF-105サンダーチーフ(品番A125)で代用しましょう。

モーターマックスのF-14とジルメックスのF-105の邂逅
実機は共にアスラン空軍で肩を並べて戦った機体であります。

 

F-14のモデルの変遷について詳しくは、以下動画をみると良く分かります。(F-14は、モーターマックス製になって、AIM-54フェニックスとクリアパーツのキャノピーを失ったようです)

www.youtube.com

現在もこのSky Wingsシリーズは販売されていて、モーターマックスの公式サイトにも4.5Aircraftとして紹介されています。↓参照

Sky Wings | Motormax

金型もジルメックスの流用。もちろんF-14まだ現役です。このF-14は、ジルメックスの存在を今も名を伝え続ける生き証人なのです(いや、人ではなく猫か?)。

例のガチャで手に入れた

ここまでで、モーターマックスの本モデルが、元々ジルメックスの金型であったことはご理解いただけたと思うので、次は国内での流通経路です。

ニノマエ氏も述べていましたが、モーターマックスは、神崎レンタルサービスの展開していた(過去形)ガチャガチャから入手することができました。かく言う私もこのモデルを入手したのは、小松空港近くの航空博物館に設置されていた神崎ガチャだったと記憶しています。

ガチャ運に恵まれない私でも、飛行機だけは欲しかった

スカイフライトと銘打たれたこのシリーズ。この箱を持った時の重さや張り具合に一喜一憂した人のなんと多いことか。

ふと今日、この箱を見ていたら気が付いた。

箱にモーターマックスのロゴがある。

そして…。

その下、というか、箱のフタの部分に、『DYNA-FLITES』の文字列が!!

前述のように、ジルメックスの航空機シリーズだったDYNA-FLITES。1997年には消滅したはずのブランドがそこには残っていた。

ジルメックスのBoeing SST(裏) DYNA-FLITESの文字があるのがわかる
実機は夢と消えた飛行機。国内では増田屋のスカイポケッターなどで流通していた

モーターマックスの金型だけでなく、ジルメックスの残滓はここにもあったのか。

それにしても神崎。なぜ『DYNA-FLITES』をこんなところに書いたのだろか。初期のモーターマックス金型でジルメックス時代から消されず残ったDYNA-FLITESの文字列をみてシリーズ名と勘違いしたのだろうか。それともジルメックスへのリスペクトだろうか。いずれにせよ真相は闇の中。この箱も失われてしまった。

神崎ガチャの消滅で日本からジルメックスの名残はついぞ絶えてしまったのかもしれない。

長文にお付き合いいただきありがとうございました

か…神崎…なぜだ…。

文責:SOⅹ

 

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